
solo exhibition
「静かな糸 —Quiet Thread—」
会期:2026年5月2日(土)~22日(金)
開廊時間:12:00〜19:00
※最終日は18:00まで
※毎週月曜・第1、第3水曜休廊
オープニングレセプション
5月9日(土)
17:00〜19:00


母が、眠っている父の写真を撮った。
その像を見たとき、撮られることを拒むわけでも、応じるわけでもなく、ただ静かに受け止めている父の体が、あのとき母の前にあったのだと思う。
写された父の像は、触れることのできないような遠く深い場所に沈んでいるようでありながら、そのフレームの外側にあった母の視線そのものが、像として立ち上がってくるようにも感じた。見えているのは父であるはずなのに、その奥に、母のまなざしが滲んでいる。
私はその視線に触れるようにして、もう一度父の像を撮影し、プリントとして焼き付けた。さらにそのプリントを家族やその土地に重ねるようにして、再びカメラを向ける。
母の視線から生まれた像に、別の身体や物が触れ、また別の視線が重ねられていく。
そうして生まれた像は、母と私の視線の中にたたずみながら、家族や土地の記憶を静かに結び直していく。
岩橋優花
IWAHASHI Yuka
1997年和歌山県生まれ。京都芸術大学大学院芸術研究科映像メディア専攻修士課程修了。写真や映像を通じて、像を単なる記録ではなく、視点や感覚が交差する場として立ち上げることを目指す。他者の気配や記憶の層に触れる経験を手がかりに、不可視の存在を手繰り寄せながらイメージの生成を探求している。
主な展覧会に「Dior Photography and Visual Arts Award 2022」(2022年)、「Kyoto Art for Tomorrow 2023 ―京都府新鋭選抜展―」(2023年)、個展「光の根」(2025年)。同年、赤々舎より写真集『光の根』刊行。
